流涙症について
流涙症には涙の量が多い、いつも目に涙がたまっていて視界がぼやけるなどの症状があり、一般的には涙目と呼ばれています。
涙は目頭にある涙点から細い管の涙道を通って鼻腔へ排出されていて、通常は分泌と排出のバランスが取れています。
流涙症は涙小管・涙嚢・鼻涙管といった涙道が狭窄や閉塞を起こしていることが主な原因で起こっています。他にも、眼疾患によって涙の分泌量が増えた、加齢で結膜がゆるんで堤防のようになり涙があふれやすくなるなどによって流涙症が起こることもあります。
涙の分泌量を増やす疾患には、結膜炎や角膜炎、逆さまつ毛などがあります。また意外ですがドライアイが流涙症を引き起こすこともあります。涙の量が十分にあっても涙の成分変化によってドライアイになるケースがあり、そうした場合はちょっとした刺激で涙の分泌が増えて流涙症を起こします。
涙道疾患(流涙症)の症状
- 常に目に涙がたまっている
- 涙で視界がぼやける
- 目の周囲がただれる
慢性涙嚢炎を起こした場合
涙嚢や鼻涙管で閉塞が起こると涙が濃縮されて膿や粘液のような目やにが出ます。
急性涙嚢炎・涙嚢周囲炎を起こした場合
慢性涙嚢炎の状態で涙嚢に細菌感染が起きると、目の鼻の間が強く腫れ、痛みが生じることがあります。
乳児の先天性鼻涙管閉塞
赤ちゃんは涙道の出口が粘膜でおおわれたままの状態で生まれてくることがあり、これを先天性鼻涙管閉塞と呼びます。
目がいつもうるんでいることが特徴で、たまった粘液や膿が目やになって出てくる状態は、新生児涙嚢炎です。
流涙症の治療
治療には2種類の手術があります。どちらも局所麻酔で行う手術です。
シリコンチューブ挿入術
閉塞した涙道をブジーという特殊な金属の棒を通して開き、シリコンチューブを挿入する手術です。局所麻酔を用い、手術自体の所要時間は20分程度です。チューブは数ヶ月留置し、涙道が十分に広がってから外します。この治療を受けても再閉塞の可能性があります。
涙嚢鼻腔吻合術
涙が正常に排出できるよう涙道のバイパスを作る手術です。シリコンチューブ挿入術では治療ができないケースでも治療が可能です。局所麻酔後、皮膚を約1.3cm切開し、目と鼻の間にある骨の涙嚢の横にあたる部分を約6mm削って穴を開け、涙嚢と鼻腔の粘膜をつなぎます。手術の所要時間は1時間半程度かかります。